手入れは、発電機から分解が済んだ部品を磨いていく作業になります。
部品の数が非常に多く、小さなものから、数十㌧に至る迄様々です。多くの部品は、グラインダー仕上げを⾏っていくのですが、油をとる作業のものや、バリが出ているものはやすりがけを⾏ったりします。
発電機は稼働中は１０００℃程の高温になる個所もあり、鉄の性質上冷めると、ひび割れを起こします。私たちはクラックと呼んでおりクラックを浸透深傷試験を⾏います。この試験はクラックの位置・深さ⻑さを確認でき非常に有効です。クラックが無くなる迄グラインダー等で削り取ります。
無くなった部分を溶接にて復元していきます。手入作業は多くの人出と時間が必要です。磨き方にも個人差が出ていてもいけません。磨きにムラが出ない様に統一します。
ボルトとナットとワッシャーは１つのセットで構成されています。ワッシャーも独特な球面形状をしております。発電機は高温の蒸気を下から上に通して、ローターを回し発電を⾏います。その蒸気が抜けないように、部品の構造もミリ単位で加工や研磨されております。

分解・手入と作業を⾏い組⽴に入るのですが、分解後に計測の作業に取り掛かります。前回記録を参考に今まで稼働していたローターの位置が回転軸からずれていなかったか、軸ブレの当たりをチェックして組⽴時の軸の計算に役⽴てます。
発電機にも様々な種類があり、三菱⽇⽴や東芝または海外製もあります。基本は同じですが、名称や部品大きさに至る迄、メーカーにより違いがあります。
各メーカーのSVと呼ばれるスーパーバイザーと共に、計測から組⽴の詳細確認を⾏い、部品の交換や計測数値のダブルチェック、異常時の対応、部品の発注を⾏ったりします。組⽴は分解の手順の反対とは限らないからです。テレビの様な家電にも、当たり外れがある様に、前回稼働していた発電機が、同じ様に稼働するのは奇跡に近い確率です。細かく言うと、小配管の1つでも不具合やボルトの締め忘れがあれば、何が起こりえるのか試運転が終わる迄は分りません。
締め忘れの無い様にダブルチェック、油配管はトリプルチェックです。
分解後は、開⼝部が有る為物を中に落としてはいけません。異物混入防止エリアを設置し、必要工具以外は持ち込み禁止です。